図書館〜永遠の約束〜
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その6 夢の中でも

次に風が吹き、この声に答えたら

その時、俺は紅納刃に会おう。

呼んでいる。

不安定な心が。

この俺を呼んでいる。

「情けない主だな。相変わらず。
お前に紅納刃はもったいない。」

そして変わらず俺の刀は世界一だ。


「僕の望むままにしか動けない?それ以外を紅納刃は望む?紅納刃はいつも僕の望み通りだ。・・・紅納刃、本当は何を望む?」

「雅納気様・・・オレの望みは・・・」

オレが声を発しても雅納気様の表情は変わらず、時が止まってしまったかのようだった。

「言ってごらん僕の刀。紅納刃の望みはこの僕がどんな事でも叶えてあげるよ。」

突然柔らかくなった雅納気様の声にオレは肩の力を抜いた。

「たくさんあるんだ。一つじゃなくて、いっぱいある。」

雅納気様の目をしっかりと見つめる。
オレは雅納気様を恐れない。
恐れた事などない。

「言ってごらん。すべて」

ようやく雅納気様は笑った。
ヒュウも後ろで安心している。
オレが見ているのに気がついたのか

「じゃあ、我は退散する。」

とヒュウが笑って姿を消した。

ここにはオレと雅納気様だけになった。

「ほら言って僕の紅納刃」

さっきまでの状態が嘘のように落ち着いてオレの名前を呼んだ。

「いっぱいあって言いきれないから、三つだけ言う・・・」

「だめだよ紅納刃。全部言って」

そのとき、雅納気様の目がゆっくりと紫色に染まるのを見た。

「雅納気様・・・?目が紫に・・・」

「目が紫?僕の?」

そう言って雅納気様はオレの目の中の自分を良く見ようとして、オレの目をしっかりと見た。

「・・・紅納刃の目じゃわからないね。」

そう言った雅納気様の目はもう元の色に戻っていた。

「それで紅納刃、望みは?」

「主が幸せだと常に思っている事」

「主?紅納刃の主って?名前をちゃんと言ってごらん」

「雅納気様。」

「僕が常に幸せ?紅納刃が僕のそばにいる限りずっと幸せだよ。」

「でも今は怒ってる」

「怒りの感情。感情のある事こそ僕が幸せな証拠だよ。紅納刃がいなければ僕は無だ。」

「でも雅納気様。今も怒ってる」

「・・・僕は紅納刃を惑わせた己に怒っているんだ。あのとき、狐に会ってから紅納刃はずっと・・・」

「オレが勝手に動いたから」

「紅納刃は僕の為に動いたんだ。それは良いよ」

雅納気様はオレが持っていた実を持つと一口かじった。

「紅納刃が僕の好きな実を覚えていた事も嬉しい」

「じゃあ何で・・・」

「眠りの訪れる自分が嫌いだ・・・」

「・・・雅納気様。オレなんだか・・・すっごく・・・眠、い。
寝たい。今すぐ」

「流石は僕の紅納刃だね。紅納刃は本当に僕の為にいるんだね。」


僕の心は満ちる。
一杯に。


「朝日が昇るまで寝ていよう。・・・望むは君の初めての夢が幸せである事」

月が昇る。
今日は満ちた満月。


その6 終


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